歳月列車

米国での日常、そして、忘れえぬ日本の思い出

懐かしき場所たち

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アメリカ暮らしもそろそろ20年。生活の基盤も家族もこっちにあり、すっかり定住していますが、今でも日本、特に神戸をはじめとする関西の街々を思わない日はありません。織田作之助が「木の都」という短い小説の中で、幼い頃住んでいた大阪の上町台地の口縄坂や愛染坂という坂の名を挙げながら、「坂の名を誌(しる)すだけでも私の想ひはなつかしさにしびれる」と書いていますが、僕も同じで、幼年時代から慣れ親しんだ湊川や新開地、よく遊びに出かけた元町・三宮、一人暮らしをしていた岡本・本山・住吉界隈、と神戸にある様々な場所の名を「誌(しる)す」だけで、あるいは、それらの名を心に思い浮かべるだけで、言いようのないなつかしさにしびれて、あの頃あの日に飛んで行きたくなってしまいます。場所にはかくも強烈な感情を呼びおこす不思議な力があり、僕のひとつひとつの記憶は、その記憶が形成されたそれぞれの固有の場所と分かちがたく結びついているようです。このブログでは、そういった思い出の場所の話を中心に、懐かしき日本への募る思いや、毎日の生活のちょっとしたことなんかをダラダラ綴っていきます。基本的に暗い地味な独言的なブログです。