歳月列車

米国での日常、そして、忘れえぬ日本の思い出

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

サンディエゴの思い出

アメリカに暮らしてもう20年になる。初めてこの国へやってきた時は、まさかこんなに長居するとは思いもせず、数年したら日本へ帰るつもりでいたのだが、どこで何が狂ってしまったのか。今では、この浮き草的、根無し草的――五木寛之氏風に言えば「デラシネ的…

早春の東京を思う

僕の住むアメリカ東部のこの街は、夏は長く蒸し暑く、冬は適度に寒く、気候的には関西や東京とよく似ている。2月はまだまだ冬だが、ときに寒さの緩む日もあり、今日、このブログの記事は、二階のバルコニーの椅子に腰掛けて書いた。頬に当たる風はまだ少し冷…

お酒と演歌とカントリーミュージックと・・・

日本の流行歌、特に演歌やムード歌謡の世界では、お酒を飲んだら昔を思い出して悲しくなって、というふうな、一人飲みの寂寥や憂いを歌ったものが実に多い。美空ひばりの「悲しい酒」なんて「ひとり酒場で飲む酒は別れ涙の味がする」と、冒頭からお酒飲んで…

新神戸と旅の思い出

JR新神戸は在来線と接続のない新幹線専用の駅で、しかも、三宮・元町の繁華街から微妙に離れているので、ふらっと立ち寄ったり、という経験はあまりなく、僕にとっては、もっぱら長距離の旅の玄関口という意味合いが強い。なので、新神戸にまつわる思い出も…

大阪 キャヴァーン・クラブ

ビートルズを本格的に聴くようになったのは、大学生になってからだった。以前にも書いたとおり、僕は、中学時代はサイモン&ガーファンクルや60年代アメリカのフォークソングに傾倒していて、高校に入ってからはビーチボーイズの『ペット・サウンズ』がお気…

福山の先輩、尾道への旅

高校時代に同じ部活に所属し、慕っていた先輩が広島は福山の大学に通っていた。90年代初頭のある夏、この先輩を訪ねて福山まで遊びにいった。電話で話していて、暇やったら遊びに来いやと言われ、明日はどない、という具合にトントン拍子に話が決まった。 神…

新長田と父の思い出

新長田は、神戸の繁華街三宮から西へおよそ6キロ、味わい深い商店街の町だ。三宮・元町より西は、観光目的で神戸に来る人ならあまり出向かないだろうが、新開地・湊川、長田、新長田、板宿、と個性的な下町が続く。新長田は、同時に、先の震災で最も壊滅的な…

グレン・ミラー

スウィング・ジャズは、アメリカという巨大資本主義国家が生み出した音楽ジャンルの中でも、最も豪華できらびやかなもののひとつだと思う。スウィングが生まれたのは、1930年代、アメリカがニューディール政策を通じて大恐慌から立ち直りつつあったときで、…

北浜慕情

大阪で一番好きな場所はどこかと尋ねられれば、月並みかもしれないが、北浜と答えるだろう。実際、ここ10年ほど、一時帰国し大阪に滞在するときは必ず北浜に宿を取っている。 太平洋戦争の空襲でほぼ全土を焼き尽くされた大阪であるが、北浜周辺は比較的被害…

サントリー・サウンド・マーケット

その昔、僕がまだ中学生だった1980年代、FM大阪で「サントリー・サウンド・マーケット」という番組が平日の午後10時から放送されていて、毎晩楽しみしていた。パーソナリティはシリア・ポール。40代も後半に突入したこの年になると午後10時にはもうぐったり…