歳月列車

米国での日常、そして、忘れえぬ日本の思い出

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

春日野道の友だち

阪急春日野道 春日野道は、神戸の中心部、三宮のすぐ東隣の町。山側に阪急春日野道駅、海側に阪神春日野道駅がある。三宮から西は元町〜JR神戸、と繁華な商業地区が続くのに対して、東の春日野道は、いくつかの活気ある商店街を抱える下町的な町だ。 大学1…

煮豆の思い出

誰にでも子供の時分の記憶を喚起する匂いがひとつやふたつあると思う。僕にとっては、煮豆(関西風に言えば、豆の炊いたん)の匂いがちょうどそれに当たる。煮豆は、幼い頃から僕の好物で、それがおかずだとご飯もおかわりできた。大豆と根菜と昆布だしと醤…

大阪日本橋、初かすみ酒房

日本へ一時帰国したときの楽しみのひとつが、大阪は日本橋にある「初かすみ酒房 」での一杯だ。大阪で片付けるべき仕事が特になくても彼の地に宿をとって、一晩でも二晩でもゆっくりしたいと思うのは、この「初かすみ酒房」がその理由のひとつだと言っても過…

札幌の思い出

北大キャンパス 6年ほど前まで札幌を訪れることが多かった。一回の滞在は短く、1週間ほど、長くても2週間だったが、それまでの7、8年は定期的に来札し仕事をこなしていた。はじめて札幌の地を踏んだのは、5月の連休の直後、空気の冷たさはまだ冬のそれで、当…

神戸メリケンパーク

小さい頃から港に対する憧れが人一倍強かった。港や波止場や埠頭や船にまつわる映画を観たり小説を読んだり歌を聞いたりすると何だか体がゾクゾク、心がソワソワして、いまだ見たことのない海の向こうの街と人に対する好奇心が刺激された。アメリカに来て初…

海老のアヒージョ Gambas al ajillo

ワインに合うおかずを、ということで、海老のアヒージョを作った。スペイン語でアホajoとはにんにく、アヒージョajilloとはにんにくを小さく切ったもの。たっぷりのにんにくとオリーブオイルで食材を煮る料理だ。 レシピをいろいろ見ると、250グラムの海老に…

サイモン&ガーファンクル

www.youtube.com 中学生の頃の数年間、サイモン&ガーファンクルに夢中だった。熱病にでもかかったように、来る日も来る日も聴き続けた。 今から思うに、凡庸で刺激に欠けた郊外のニュータウンに育った僕は、聴くもの、読むもの、観るもののすべてにおいて、…

ああ、新開地

新開地は、神戸近辺以外の人にはあまり馴染みのない場所かもしれないが、戦前の神戸の中心地。映画館や芝居小屋、飲食店の密集する、関西随一の繁華街だった。戦争中の空襲で焼かれ、戦後は少し東の三宮へ人の流れの中心が移っていった。 新開地とは子供の時…

ぜんざいのもたらす幸福

ときに無性に食べたくなるのがぜんざいだ。スイーツに関してはただならぬ欲望を持った国民を多く抱えるアメリカに住んではいるが、和菓子は全くポピュラーではない。饅頭や大福などは近所の日系商店で買えるが、ぜんざいはそういかない。寒い冬の日、たまた…

神楽坂の思い出

神楽坂は、東京という巨大な街の中でもとても思い出深い場所のひとつだ。もうかれこれ15年くらい前、はじめて東京に長期滞在したときに利用したホテルが飯田橋駅近辺で、神楽坂にもすぐだった。それまで東京には旅行で数回来たことがあるだけで、新宿とか池…

自家製納豆

日本を遠く離れて20年ほど経つが、日本の食べ物を思わない日はない。幸い、歩いてすぐのところに日本の食材を専門とする店があるので、醤油切らしたとか、今日は味噌汁に油揚げがほしいなとか、いうときはとても便利だ。 ただ、問題は値段。豆腐とか米とかは…

マルミタコ Marmitako

今僕が住んでいるのは、アメリカ東部の中規模都市です。一番近場の大都市は首都ワシントンになります。アメリカの都市部で現在起こっているインフレは、けっこうすさまじく、この1年で実に7%の上昇だったそうです。僕の給料は7%も上がっていないので、しが…

摂津本山に暮らした日々

もう20年ほど前、仕事を始めてからまだ間もない頃、この駅から徒歩10分ほどのところで一人暮らしをしていた。実家から大学に通っていた僕にとっては、これが初めての一人暮らしだった。給料は安く、住まいは小さかったが(20平米ほどのワンルームで、確か家…

懐かしき場所たち

アメリカ暮らしもそろそろ20年。生活の基盤も家族もこっちにあり、すっかり定住していますが、今でも日本、特に神戸をはじめとする関西の街々を思わない日はありません。織田作之助が「木の都」という短い小説の中で、幼い頃住んでいた大阪の上町台地の口…

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