歳月列車

米国での日常、そして、忘れえぬ日本の思い出

さよなら日本、また会う日まで

今日の四谷 というわけで、日本滞在最終日。3週間はあっという間だった。今は羽田で搭乗待ちだ。 いつもデルタを使っているのだが、いつのまにか成田から撤退していて、今はすべてのデルタ便が羽田発着になっている。都心からは羽田の方が断然近いし、交通…

四谷で我が家の柴犬くんを思う

今回の日本滞在もあと1週間足らずで終わり、来週の頭には米国東部のわが街へ帰ることになる。 今は東京で仕事をこなしており、宿はいつもの四谷だ。パンデミック以前は半年おきに来ていたので、変化があったとしても緩やかで、あくまで自分の想定内のことが…

北浜再訪

日本に来ている。2年5ヶ月ぶりの日本だ。6月から、米国からの入国者に対しては到着後のコロナ検査が免除となったので、入国は非常にスムーズだった。機内も快適でよく眠れた。ただ、米国を発つまでのひと月ほどは、自分の仕事人生でおそらく一番忙しかった期…

ゲッツ/ジルベルト

僕が思春期を迎えた頃というのは、貸しレコード屋なるものがまだ普通に存在していて、そこで様々なLPを借りてきてテープにダビングしたり、三宮や元町の中古レコード屋を物色したりして音楽を嗜んでいたわけだけど、高校へ入る頃になると、CDの勢いが急速に…

沖縄と父の思い出

死んだ父が夢に出てきた。僕は一時帰国中で両親の家に滞在しており、父と居間で普段どおりの会話をしている。最終的に父の命を奪うことになる病はまだそれほど進行してはいないようで、よく喋り、体も普通に動いている。と、唐突に「お前に会えるのもこれが…

幻想の関西

前回日本へ行ったのがパンデミックの始まる直前、2019年の12月だった。ひと月後には2年5ヶ月ぶりの一時帰国が迫っているが、現実感がわかない。日本への国際線のフライトは今だキャンセルや変更が続出しているのは、海外在住者の間ではよく知られており、自…

フィラデルフィア

フィラデルフィアは、米国東海岸の街で、ちょうどニューヨークと首都ワシントンDCの間に位置する。ロサンゼルスやサンフランシスコやニューヨークやDCと違って、日本の人にはあまり馴染みがないかもしれないが、市域だけでも160万の人口を抱える巨大都市。 …

復活祭のゆるい日曜

今日は復活祭、いわゆる「イースター」の日曜だった。敬虔なキリスト教徒の多いアメリカでは重要な祝日だ。復活祭は太陰暦をもとにした祝日なので、日付は年によって変わるが、たいてい4月中の日曜に当たるので、春の始まりともとらえられていて、キリスト…

阪急北千里

あいにく北千里の写真がなくて、これはひとつ手前の山田駅 阪急の千里線は、大阪のターミナル梅田と千里ニュータウンの中心駅のひとつ、北千里とを結ぶ典型的な郊外電車の路線だ。神戸線や京都線が都市間輸送の大動脈でほぼ一日中せわしないのに対し、千里線…

阪急茨木市駅

その昔、まだ神戸に住んでいた時分、茨木で仕事をしていたので、ここには週3回ほど通っていた。その仕事は常勤の仕事ではなかったので、それだけでは資本に管理・支配された社会で生存していくことは到底できず、午前中は神戸で仕事をして、午後に茨木へ駆…

高野豆腐賛歌

先週は相方が出張で留守にしており、柴犬くんと二人きりで濃密な時間を過ごしていたのだが、仕事がたまっていて気が重かった。仕事の性格上、オフィスでの拘束時間は短いのだが、締切が重なると週末も何もあったものではなく、家にいてもやることが次々と出…

大阪夕陽丘

子供の時分から地図とか電車の路線図とかを見て、まだ見ぬ場所についてあれやこれやと空想するのが好きだった。そんな空想旅行みたいなことをしていると、特に興味を惹かれる名前を持った場所に出会うことがあった。神戸〜大阪のあたりでは、たとえば、阪急…

東京四谷

長く閉ざされていた日本の国境が、3月になりようやく開き始めた。アメリカからなら、ワクチンのブースター接種済で到着時の待機期間なしとのことで、少しは一時帰国がしやすくなった。2年以上帰ってないので、もうそろそろ帰らねば。そんなわけで、今日、…

春の歌―伊勢正三、吉田拓郎、浜田省吾

桜ももうすぐだ 昨日の朝、この街は深い霧に覆われていて、我が家の柴犬くんの散歩の時間になっても、いつもの公園は朝もやに煙っていた。散歩を続けるうちに日が昇り、春らしい日差しが照り始めた。この公園では、今、マグノリアが満開で、その次が洋梨の白…

上高地の流れ星

出典:pixabay (https://pixabay.com/ja/photos/上高地-河童橋-梓川-日本-356968/) 僕の住むアメリカ東部の街は、決して大都会と呼べるほどの規模ではないが、それでも、日が暮れてから帰宅するときなど、高速の向こうに見えるダウンタウンのビル群は煌々と…

イカナゴのくぎ煮

僕の住むこの街では、ここ1週間くらいで気温が急上昇、にわかに春らしい天気になってきた。 というわけで、イカナゴの季節だ。神戸・明石近辺では、イカナゴの稚魚を醤油とザラメで甘辛く炊いた「くぎ煮」は春の風物詩で、物心ついた時分から、毎春、祖母も…

続サンディエゴの思い出

前回、渡米して最初に暮らした街サンディエゴについて書いたが、今日はその続き。彼の地には合計6 年ほど住んだのだが、今振り返ってみると、その6年間、あたかも同じ時間が何度も何度も繰り返し循環していたかのように、そこで経験した様々な出来事がごちゃ…

サンディエゴの思い出

アメリカに暮らしてもう20年になる。初めてこの国へやってきた時は、まさかこんなに長居するとは思いもせず、数年したら日本へ帰るつもりでいたのだが、どこで何が狂ってしまったのか。今では、この浮き草的、根無し草的――五木寛之氏風に言えば「デラシネ的…

早春の東京を思う

僕の住むアメリカ東部のこの街は、夏は長く蒸し暑く、冬は適度に寒く、気候的には関西や東京とよく似ている。2月はまだまだ冬だが、ときに寒さの緩む日もあり、今日、このブログの記事は、二階のバルコニーの椅子に腰掛けて書いた。頬に当たる風はまだ少し冷…

お酒と演歌とカントリーミュージックと・・・

日本の流行歌、特に演歌やムード歌謡の世界では、お酒を飲んだら昔を思い出して悲しくなって、というふうな、一人飲みの寂寥や憂いを歌ったものが実に多い。美空ひばりの「悲しい酒」なんて「ひとり酒場で飲む酒は別れ涙の味がする」と、冒頭からお酒飲んで…

新神戸と旅の思い出

JR新神戸は在来線と接続のない新幹線専用の駅で、しかも、三宮・元町の繁華街から微妙に離れているので、ふらっと立ち寄ったり、という経験はあまりなく、僕にとっては、もっぱら長距離の旅の玄関口という意味合いが強い。なので、新神戸にまつわる思い出も…

大阪 キャヴァーン・クラブ

ビートルズを本格的に聴くようになったのは、大学生になってからだった。以前にも書いたとおり、僕は、中学時代はサイモン&ガーファンクルや60年代アメリカのフォークソングに傾倒していて、高校に入ってからはビーチボーイズの『ペット・サウンズ』がお気…

福山の先輩、尾道への旅

高校時代に同じ部活に所属し、慕っていた先輩が広島は福山の大学に通っていた。90年代初頭のある夏、この先輩を訪ねて福山まで遊びにいった。電話で話していて、暇やったら遊びに来いやと言われ、明日はどない、という具合にトントン拍子に話が決まった。 神…

新長田と父の思い出

新長田は、神戸の繁華街三宮から西へおよそ6キロ、味わい深い商店街の町だ。三宮・元町より西は、観光目的で神戸に来る人ならあまり出向かないだろうが、新開地・湊川、長田、新長田、板宿、と個性的な下町が続く。新長田は、同時に、先の震災で最も壊滅的な…

グレン・ミラー

スウィング・ジャズは、アメリカという巨大資本主義国家が生み出した音楽ジャンルの中でも、最も豪華できらびやかなもののひとつだと思う。スウィングが生まれたのは、1930年代、アメリカがニューディール政策を通じて大恐慌から立ち直りつつあったときで、…

北浜慕情

大阪で一番好きな場所はどこかと尋ねられれば、月並みかもしれないが、北浜と答えるだろう。実際、ここ10年ほど、一時帰国し大阪に滞在するときは必ず北浜に宿を取っている。 太平洋戦争の空襲でほぼ全土を焼き尽くされた大阪であるが、北浜周辺は比較的被害…

サントリー・サウンド・マーケット

その昔、僕がまだ中学生だった1980年代、FM大阪で「サントリー・サウンド・マーケット」という番組が平日の午後10時から放送されていて、毎晩楽しみしていた。パーソナリティはシリア・ポール。40代も後半に突入したこの年になると午後10時にはもうぐったり…

春日野道の友だち

阪急春日野道 春日野道は、神戸の中心部、三宮のすぐ東隣の町。山側に阪急春日野道駅、海側に阪神春日野道駅がある。三宮から西は元町〜JR神戸、と繁華な商業地区が続くのに対して、東の春日野道は、いくつかの活気ある商店街を抱える下町的な町だ。 大学1…

煮豆の思い出

誰にでも子供の時分の記憶を喚起する匂いがひとつやふたつあると思う。僕にとっては、煮豆(関西風に言えば、豆の炊いたん)の匂いがちょうどそれに当たる。煮豆は、幼い頃から僕の好物で、それがおかずだとご飯もおかわりできた。大豆と根菜と昆布だしと醤…

大阪日本橋、初かすみ酒房

日本へ一時帰国したときの楽しみのひとつが、大阪は日本橋にある「初かすみ酒房 」での一杯だ。大阪で片付けるべき仕事が特になくても彼の地に宿をとって、一晩でも二晩でもゆっくりしたいと思うのは、この「初かすみ酒房」がその理由のひとつだと言っても過…